メコンの木霊(日記)

読むこと、書くこと、話すこと。

 トー以外の劇団メンバーをはじめ、ラオスの友人たちは、用がある時、VICEメールを使う。つまり文字ではなく音声。しかし、不鮮明で大事な用でも聞き取れない。彼らは、読むこと、書くことが信じられないほど不得手なのだ。完全に環境の問題。我々は、日常の中で買い物する時でも、駅構内を移動するときでも、常に字を読んでいる。しかしラオスでは、商品のポップはなく、道路標識も少ない。一番交流のある年代は、革命直後に生まれたメンバーが多く、そのころラオスには本をはじめ、字が書いてあるものがほとんどなく、教育にも手が届かなかった。彼らの知能は私よりずっと高く、複雑な電子機器の扱いなど生まれた時から知っているような塩梅だ。フランス語をぺらぺらしゃべり、英語もいざとなるとわたしよりずっとうまいトーが、簡単な英語表記が読めなくて聞いてくる。トーいわく「読むこと、書くこと、しゃべることはまったく別のもの。あんたはラオス語が書けるけど、しゃべるとひどいでしょ。」たしかに・・

稲刈り唄が響く。

 メッセンジャーの小さなスピーカーから勢いよくラオス北部の稲刈り唄が響いた。うたっているのは、9月はじめに長年育ててきたみかん畑と家畜、住居を大雨によるダムの突発的な放水で流され壊滅したわが親戚村の人々。平地がないため、彼らは米を一番高い山の斜面に焼畑でつくる。その急峻な地形に私はコメの畑にたどりつくだけで死にそうになる。機械を入れるなどもってのほか、総出で人力だけで作業をする。人員が一斉に連動して動くために唄を歌う。家畜やみかんは売るために作るが、米は自分たちが食べるためにしか作らない。それでも明るい元気な唄が聞こえる。「唄がきこえるか?りっぱな米がとれるぞ。おいしい米があれば生きていける。ははは・・」とうれしそうに笑う。米以外、みんな失った。ほんとに何もかもだ!!それでも彼らは元気に稲刈り唄を歌う。生きていければなんとかなるさ。いつでも彼らはそうやって生きてきた。いつでも私は、彼らの稲刈り唄に心をわしづかみにされる。

VOA/Voice of アメリカ

 現在、ラオス各地で未曾有の洪水が頻発している。だいたいどれも海外が関係しているダム建設が原因の一因になっているため、そうでなくても正しい情報を公開しないラオスでは、なかなか情報が入手できない。そこでVOAのラオス語放送を聴く。ネット検索すると、音声も聞けるし、記事も読める。音声は少しゆっくりめなので、画像私にも聞きやすい。しかし・・VOAは、第二次世界大戦中にプロパガンダ戦略を目的に創設された放送局だ。さすがに現在は国防省管轄ではないが、アメリカによる国営放送であることに変わりない。そう考えるとバイヤスがかかってしまう。しかしね、日本の報道でも現地に実際行ってみると、全然違うということが普通にあるので、あまり信用していない。つまりこんなにネット情報が氾濫しているのに、あまり信用できないということになる。

疑問2

 前回のブログ文章に関して、複数の方からご意見、疑問が寄せられたので、まじめに答えます。


 私は、それぞれの場所がもっている力、トポス。またそれぞれの暮らしから生まれるイマジネーションをとても大切だと思っています。韓国の方々からの質問は、彼らの歴史や受けた教育から発生したところがあります。だからスル―せず、自分自身も考えてみました。私はまちがいなく日本で生まれ、今でも東京で生活しています。ずいぶん遠くなってしまったけれど、イマジネーションの根源には、生まれた場所岩手の痕跡が、はっきりと感じられます。しかし、そのことと日の丸を背負って舞台に立つということはちがいます。私は今回のフェスティバルに、多様な価値観をもちながらそれぞれの地域の暮らしから生まれる文化を大切に思い、自分の根源を探求しつづけるトーのコンセプトとともにラオスチームの一員として参加したことを誇りに思っています。

彼らの疑問

 韓国のフェスティバルに、私はラオスチームとして参加している。首から下げているメンバープレートにハングルで「ラオス あさぬまちずこ」と書いてあるため、たくさんの方に質問された。中には通訳を連れてわざわざホテルまで聞きに来た方までいた。いわく「日本人が、ラオスチームで問題ないのか?」会期中、いろいろ大騒ぎだったので、深く考えなかった。劇団カオニャオは、ラオスの劇団だが様々な民族の方がいるし、聾者の方や、オカマもいるし、多様なのだ。・・しかし、韓国の方々が聞きたかったのは、そういうことではないらしいと帰国後、気づく。「ラオスは力のない貧しい国ですよね?そのチームになぜいるのですか?」「日本人のパーソナリティーと、あなたの行動は大きくずれているのではないですか?」と言うことを確かにきいていたわな・・つまりたいへんに微妙な問題について聞いていたのかもしれない。はて・・身体性や感覚の違いを超えて共演してゆく困難と面白さはいつも感じているけど、政治的アイデンテティー??まったく考えなかった。あほですんません。

韓国家庭料理

 今回お世話になった韓国のご家庭の庭には、たくさんの壺。このひとつ、ひとつに味噌やなんとかジャンと呼ばれる繊細な味の調味料が仕込まれている。それぞれ大変手が込んでいて美味!!Img_5237

 我々は、仕事で訪韓しているので、いわゆる有名な韓国料理を食べることは少なくあわただしく家庭料理をいただくことが多い。でもそれがたいへん美味!!
Img_5241

木浦フェスティバル

 トーとふたりで韓国の南、木浦の「マダーンフェスティバル」に参加した。とっても楽しくかつ有意義な1週間だった。このフェス参加、実は3回目。Img_5240 毎回感じることだが、日本と同じように経済が発展した先進国でありながら、韓国の芸能には、しっかり韓国の魂を感じる。伝統芸能だけを指しているのではない。若い世代によるコンテンポラリーであっても、そこに韓国の魂があるのだ。レベルが高い本ステージはもちろん堪能したが、恒例毎夜の打ち上げで披露されるそれぞれの地域の歌。酔っ払ってポッと出てきて、自分の生活周辺の地域の歌を歌う。技術の問題ではなく、心がしっかりある。自分を省みてなんだかな・・と思った。たとえば長女が生まれたばかりでそのことでいっぱいのトー。今回、本番で赤ちゃんをあやすシーンが突然、豊かになる。話が混乱しているが、つまり・・地域で豊かに生きていることが、そのまま芸能の魂になること。そうなればいいのになあ・・Img_5252

夏のおわり

地上はまだまだ暑苦しいが、高地は夏の終わりを漂わせている。最後の蝉しぐれ、たそがれ時の空。Img_20180824_183151_2


相変わらず、山、温泉、ビール至福。
Img_20180824_173058_2

至福の時間

毎年、暑い暑い季節、長野県飯田市で開催される人形劇フェスティバルに参加する。今回は、前半ラオスのルートマニー氏と、後半ひとりで上演と7月末から2週間の長丁場。いつでも楽しみは、上演で汗をいっぱいかいた後、近くの温泉につかり、たそがれ時の野山を風が渡ってゆくのをのんびりながめながらビールを飲むひととき。Img_5189

 
 まだ真っ暗になる前のたそがれ時、鳥たちは鳴き交わしながら山に帰り、風が木々をふるわせている。しかし・・2週間にてこんな悠長な時間に温泉にこれたのは、たった一日。あたりまえだ。夜も忙しいのだ!!夜までいろいろ働いて、合間にいろいろな上演も見て、閉店直前の温泉に飛びこみ、あとかたずけをしている温泉食堂でぐびぐびビールを飲んでいた。それでもとても有意義で楽しい2週間だった。
Img_5202

災害

 日本でも大雨など災害が頻発し、年ごとにたいへんなことになっている。これは世界的傾向だ。今年、ラオスは大変な災害に見舞われている。雨季後半の洪水は毎年のことで比較的みんな慣れているが、今年の災害はダムの決壊だ。海外資本で作られたダムが、決壊。ここ数年で作られた膨大な数のダムはすべて海外資本が絡んでおり、その多くが現在決壊危険状態にある。簡単に決壊してしまうダム。つまりこれは人災だ。

 わが親戚村の側のダムも決壊危険情報が発令され、従業員(全員中国人)は全員逃げてしまった。さて・・山奥にポツンとたたずむわが親戚村・・SNSで聞いてくる。「逃げろと言われても・・どこに逃げるのさ。」ラオスは今まであまり大きな災害に見舞われたことがなかった。政府や行政に災害支援準備は皆無。村々も未経験。著しい知識不足。車などを雇って逃げるには村に金などない。逃げてゆく避難所などどこにもない。たしかに・・どうしたらよいか途方に暮れるだけだ。数日前から環境NGOなどに連絡を取って対応策を模索しているが、政治的事情もあってどうしようもない。歯がゆい!!人間の欲による人災!!どこまでもつづく。

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

プロフィール

無料ブログはココログ