人食い人種
ファンタジーのような面白い小説を読んでいる。その中でジャングルの中で遭遇した人たちが「人食い人種」かもしれないというシーンが出てくる。子どもの頃、人食い人種が登場するお話が大好きだった。こわくてドキドキしたし、この地球上で同じ人間なのにそのような人たちがいるなんてとても不思議だった。
さまざまなアジアの僻地を旅して、住んでいる人々にお世話になって、昔、ヨーロッパのキリスト教探検家が初めて遭遇した人々を「人食い人種」といったことがある意味よくわかるようになった。人はみんな、それぞれの方法で魂の在り方を探る。自然に近いところで住んでいる人々ほど、自然との交感を通して魂をみつめる。厳しい自然の中では、それらが奇習となって現れることが多い。10年ほど前、私が大きな手術をすると知った我がラオスのとうちゃんは、夜明けにこっそり私にひとつのお守りを渡そうとした。それは箱に入った白いサルの干し首だった。とうちゃんはボロボロ涙を流しながら、「これがきっとお前を守ってくれる。この首に乗ってうちの家族はみんな日本のお前のベットのそばで見守っているから」と言った。日本に家族いない私はたったひとりで手術を受けたが、怖くはなかった。もちろんそんなウロンなものをもって出入国することは無理なので、ラオスの方にこっそりあずけていたが、みんなの気持ちは空間を越えてやってきてくれた。人々は多様なのだ。しかし、魂を求める気持ちは、どこかでつながっている。
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