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不思議な体験

ヴィエンチャンの古くからの友人が、お勧めのマッサージ師がいるという。値段も手ごろだったので行くことにした。マッサージ師さんは、20代前半のやせた美しい女性だった。しかし全盲で生まれたときから一度も光を見たことが無いと言った。

 

職業柄もあり、アジア各地でマッサージを受けた経験があるが、彼女の手法のレベルはこれまででほぼナンバー1と言うほど高かった。ラオス式マッサージは、値段が安いせいもあって、おなじみだが、彼女のやりかたは、かなり独特だった。彼女から私は全く見えていないわけだが、マッサージをしながら私のくせや身体的に弱いところ、容姿や年齢まで当てていった。

 

最後に彼女は言った。「誰にでもっていうわけではないけど、ときどき私がプレゼントをあげられる体質の人がいるの。わたしとの相性もあるのだけれど、あなたはそのひとり。プレゼントをあげる。」どんなプレゼントか?ときくと「わたしにはわからないのよ。少しの間光が変わるらしい。」・・それから彼女は、しばらくの間、わたしのお腹の上に手を置いていた。終了して別に変ったことはなかった。店をでて、ふと見上げるとラオスならどこにでもあるブーゲンビリアが咲いていた。息をのむ。ブーゲンビリアの紫の輝き、葉の緑の輝きに感動してしまう。それから空気の汚れたヴィエンチャンの街をバイクでひっぱるタクシーにのって帰宅したが、その途中も、夕暮れの光に・・咲き誇る蓮の花に、涙が出るほど感動する。この世界は、なんと光にあふれているのだろう・・話はそれだけ・・しかし、この日を一生忘れないだろう。

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