表裏一体
バンコクは間違いなく大都会だ。しかし、どこに行っても一見こぎれいな東京と異なり、さまざまなひずみや混沌にあふれ出ている。
ある夜、夜中の2時ころ、酔って一人で歩いていたら、日本と同じようなゴミ収集車がやってきて、箱乗りをしていた二人の従業員が飛び降りた。ふたりは2~3歩歩いて、しゃがんでしまった。「あ~疲れた。」「やっと今日も終わった。」彼らが話していたのは、私に理解できるラオス語と同じイサーンのことば。顔は真っ黒に汚れ、厚手のゴム手袋を脱ぐと、落ちていたたばこの吸い殻を拾って火をつけてホッとしていた。
最終日、ラオスメンバーといっしょに買い物い行く。私は、通訳をしている学生さんにどこが良いか聞いた。MBKが安くていいという。カオニャオたちは、ホテルのお掃除おばさんに聞いた。「MBKなんて高くて入ったこともない。」おばさんが教えてくれた裏市場にいくと、衣類やサンダルが¥50~¥300くらいで売られており、クーラーもない迷路のような路地は、完全に身体を隠したモスリムのおばさんや、ラオス語やその他少数民族の言葉であふれていた。すごい人だった。ホテルのおばさんは、私を指差して言った。「日本人も連れていくなら、カメラなどは持たないこと。彼女をひとりにしないこと。」行ってみて、おばさんの忠告は的確だと思った。
ラオスも混沌としているが、それは表に現れていて「それが普通」という感じ。でもバンコクの混沌はモダンな高層ビルの真裏に広がっていたりする。
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