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チョンという少年

チョンは、トーの親戚の12歳くらいの少年だ。6歳くらいの時から、ときどきトーの家に住んでいる。ときどき他の親戚の家に住んでいる。だいたいの事情は知っているが、ラオスではよくあることだ。家庭の事情とは関係なく、チョンはほとんどしゃべらない。彼が大人と言葉を交わしているところを見たことがない。周囲もそういう少年に慣れてしまっていて、気にも留めない。フェスティバルの最中、いたるところで写真をとり、トーの息子たちはどの写真にも映っているが、チョンが映っている写真が一枚もない。でも、会場にいつもいてトーの息子たちと一緒に走り回っていたことを覚えている。彼はそんな不思議な少年なのだ。

フェスティバル舞台の裏で、気がつくとチョンがじっと私をみていた。そして唐突に言った「海に行ったことある?」「生まれたところは海のそばだったよ。」「行きたいな。」夢見るように遠くを見てやがてどこかに行ってしまった。チョンとはじめて交わした会話だった。ラオスには、海がない。

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