友の描く絵
28歳の時、未経験な女性二人で当時約1年だけ解放されていた中国チベットにバックパックを背負って完全な自由旅行を決行した。その前も、その後今に至るも中国チベットでガイドという名の監視がない自由旅行は許可されていない。きっかけは、日本画の学生だった友がチベットに絵をかきに行くのにむりやり私が同行したのだった。旅は過酷で、ひ弱な私たちは、それぞれ旅先で倒れ、たくさんの方々に助けていただいたりした。その友は、いまや売れっ子画家である。私は彼女からたくさん影響を受けた。今回、宮部みゆきさんの小説「三鬼」の挿絵展だったので、たいへんひさしぶりに展示会にうかがい、久々に友に再会した。
友は当時からは考えられないくらい多様な表現をしていた。しかし、当時からあった「光と影、そしてそのあわい」はずっと魂を保ったまま、ますます不思議な力をもっていた。私たちは、二人同時に言った。「あのころがベースになったよね。」まだまだ、なにがなんだかわからなかったが(今でもわからないが)少なくとも、あのチベットへの旅とその前後の数年が、私をアジアの古くからある感性に向かわせたと思う。
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