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ラオスで楽しいことのひとつに、「ものがないのにやってしまう」というのがある。たとえば以前、劇団ツアー移動中の真夜中、水牛の群れと車が衝突、車がほぼ大破した時、劇団メンバーはたったひとつのヘットランプのあかりをたよりに針金ハンガーだけで車を直したことがある。電線のないところに未知の場所から電気をひいてきて照明をつけたり、楽器がないのに鍋や木の実をつかって音楽をつくったり。ほんとにないからしかたなく工夫している。とも言える。しかし、それを目の当たりにすると、人間がもともともっている能力にたいして力がわいてくるのだ。彼らのパフォーマンスに関してもそのことは限りなく言えるが、先にあげた例は専門職の話ではなく、日常に起きた出来事の中で工夫していい感じで乗り切っていく力のことだ。ものがあふれている世界で暮らしている自分はそんな力が摩耗していて劇団メンバーにいつもバカにされるが、そんな出来事に出会うたびに生きていてよかったと思うのだった。

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