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三流通訳の疑問点

 ラオス・日本の通訳仕事は会談なので、その場で長い間迷っているわけにはいかなかった。その場は何とかして、終了後に言葉に詳しい友人や通訳を受ける側だったトーにいろいろ聞きまくる。私的にいちばんう~~ん困ったな。と思った言葉は日本のアーティストがトーの作品を見て発した「笑ってみるんだけど、あとからなんかすごく哀愁を感じます。」と言ったときの「哀愁」ラオスには「哀しみの思い」という単語はあり、辞書にもそれが「哀愁」で載っているしもしテスト問題だったらそれで正解だろう。しかしその言葉は「とにかく悲しい」思いであって、日本のアーティストが言った「哀愁」には切なさや温かさがある。結論からいうとラオス語のネイティブスピーカーはとても頻繁に「想いがそこに向かって届く」というニュアンスの言い方をする。私はジャングルの中に存在する親戚の村に対してよくその言葉を発するし、その村に住む妹は私個人に対してそれを言う。それ日本語だと郷愁じゃね?とある日本人は言ったが、恋人や友人に頻繁に使う。つまり日本語の「哀愁」にそのままイコールの言葉もないし、ラオス語の「クッホー」にイコールのことばもない。専門用語が頻発するビジネスや研究分野の通訳は絶対できないが、唯一これなら・・という文化においても通訳ってすごく難しい。

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