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2022年11月

漂う乗り物

 ラオス滞在中、美しい、気持ち良い場所はたくさんあった。その中でもナンバー1はジャングルの空き地に作られたブランコの上。写真でみると視界は狭いしなんだかボロいが 涼しく森を駆け抜ける風を感じながらゆらゆらしていると天国のようだった。Img_20221114_064449

加速しつづける社会

 はじめてラオスの実家に滞在したのは1998年だ。電気水道がなく道路がなく100%河に依存して自給自足の生活をしていた村の死生観、価値観のあまりの違いに衝撃を受けた。河には魚やノリが豊富で、森には動植物があふれていた。それから14年。どんどん変化していったが数年前に中国ダムを建設してからの変化は、生活基盤があっという間に次々にひっくり返るものだ。現在、水量の変化、水質の変化のため河に魚はほとんどおらず、村自慢だったノリも存在しない。なによりも彼らを語るとき「コメ作り農家」と紹介してきたが、現在コメをImg_20221114_091000 一粒も作ることができない。これが暮らしだ。と頼ってきた依り代がすべて失われてしまう状況。それは人間性さえも変えざるを得ない。経済を加速させることのみ。それはすでにアリ地獄に落下し自動的に飲み込まれていく以外人間にはどうしようもない現象・・すでに政治や理性や欲望など超えてしまっているのではないかと感じた。

道に迷った猫の歌

 ラオスでのこと、さて今からパフォーマンス録画だ。という折、トーが溺愛する愛娘のきげんが急に悪くなる。ウギャ~と泣き出し録画ができない。監督トー、私に「道に迷った猫の歌を日本語で今すぐ歌ってくれ!!」「なんやそれ??」「早く頼むよ!!」あてずっぽうで歌いだす。「迷子の迷子の子猫ちゃん、あなたのおうちはどこですか?」あたり!!だんだん泣き止む。よかった。どこでこの歌を聴いたのか不明。しかしさすがトーの娘。正しい日本語で歌われないと「インチキ!!」と騒いでますます悲劇になるとのこと。それではですね。普段、私が不在の時はこのおまじないな無効なわけだ。そしてある晩、ホテルに帰ってビールを飲み疲れた寝ましょうと思った矢先、トーから電話が入る。後ろでは泣き叫ぶ愛娘の声が・・「う・・うたってくれ!!」ふざけんなよ!!Img_20221114_075114

残された光

 ラオスから帰国、日々いろいろあったが久しぶりで世界が変わるほど熱くなりつづけた。それはただ、トーと私でつくるオブジェクトシアターの世界。36度の気温のスタジオで一日中つづくリハーサル。真新しい世界観なわけでも、ヒットするわけでも、ビジネスとして成功するわけでもない。それなのにパッションが止まらない。なんでこんなにワクワクするのだろう。かまどから出てきたピーが、葉陰からでてきたピーが、次々にピーがでてきて哄笑する。誰が何と言おうとこの小さな世界を創作しつづけることが私に残された光なのだ。Img_20221111_142600

カフェにて

ルアンパバーンのメコン河沿いのカフェでひとりたたずむ。客はひとりきり。現実は過酷なことばかりだが、こうしてメコンをゆっくり行き来する筏の渡しを眺めているとすべてが夢のように感じる。・・と暇な従業員、「マダム、コーヒーのおかわりはいかが?」と英語で聞いてくる。夢に浸っていた私、なにげにラオス語で「まだいらない」と答える。すると・・「げ、ラオス語わかるのかよ。聞いてくれよ、俺の暮らし・・」といきなり身の上話。もちろん困難な生活、家族を養う苦労を具体的に話始め止まらない。夢終了・・初対面のしかも客なのに。でもいいの。それがラオスのだいご味。Img_20221115_075539

森の村

 5年ぶりにラオスの実家?にいく。そばに中国がダムを作ったため環境激変。そして中国ダムは告知なく突然放流し、そのたびに彼らの家、家畜、畑全部流される。人も流される。それでもそれらのことはなかったことになる。日本だったらみんな生きていけないな・・それでも村の人は生きる。私が行ったのをネタに仕事を休んで大宴会。歌い、踊り、笑う。70才を過ぎたかあちゃん(本人も年齢不詳)は、目も見えず歩くこともできなくなっていた。私を抱きしめて言う。「きっとこれが最後だよ。今度、水が来たら誰も私を助けられない。河に流れて死ぬなら本望だよ。お前が娘になってくれて幸せだった。」私は今は静かな河をながめて泣く。

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プロペラ機

 ひさしぶりで小さなプロペラ機に乗った。プロペラ機は比較的低空を飛ぶ。熱帯の空、高くそびえる雲を出たり入ったりしながら下にメコンをみながらヨロヨロ飛ぶ。すごく乗り心地は悪い。プロペラの音も離陸の時などなにごと?というくらいうるさい。でも大好き。ちょうど機の真ん中に座った。窓にかじりつく。途中で突然車輪がぼたっと落ちる。慌てて回収される車輪。まちがいだったようだ。着陸するとお隣にいた西洋人のおじさまほっとしすぎて気絶しそう・・私は大ごきげん。Img_20221113_173617

小さな神様は葉陰に。

 今日は予約システムがほぼない昨年開通したばかりのラオス唯一の鉄道のチケットのことで一日右往左往する。結局チケットは手に入らず、あわてて飛行機のチケットを買いに走る。スケジュールなどあったものではない。そんな中、葉陰にいる小さい神様。一瞬ふっと息を止めて見つめると笑顔になってしまう。バタバタと熱い中大騒ぎする人間を下からぼんやり眺めながら神様は静かにたたずんでいる。思わず手を合わせ生きていてよかったと思う。それがラオス。

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ラオス高速道路

 カオニャオシアターの創作道具を集めに行くことになった。ほしいのは竹細工をつくるときにでるクズ竹の方で竹細工屋さんにすればごみなので大喜びで大量に持って行ってほしいとの依頼。メンバー一同車に乗ると運転手トー様宣言「今日は高速で行く。」一同大歓声!!そうなのです。最近ラオスに初めて高速道路が開通しました。しかしラオス感覚から言うと、そりゃ高速使いたいけど、道走っただけで金払うのはちょっとねえ・・なので旧道は混んでいるけど高速はガラガラ。トー様130Kでブイブイ飛ばす。一同大興奮!!しかし、高速だが高架ではない。周りでは田植え中。なので、私は予想していましたよ。突然、牛の集団が高速を横断し始める。低速歩行。牛歩っていうくらいだからね。当然動かなくなる車。私が笑い出すとみんなが「何笑っているのかなあ?」という反応。そりゃ牛、ヤギ、水牛道渡るでしょ。そしたら止まるでしょ。あたりまえ。それがラオス方式。集めに行ったのは写真の枠に映っているポヤポヤしたクズ竹です。Img_20221109_110320

2年半ぶりのラオス

 カンボジアからラオスにいたる夕方のフライトの間、ずっと燃えるような夕焼けが続いていた。あ~熱帯の空だ。宿は首都のど真ん中なのに朝は騒がしいほどの鳥たちの声で目が覚める。しかし、ラオスの方々が通常の速度で話すラオス語が聞き取れない・・ショック!!トーがゆっくり話して通訳してくれる。げ・・前は平気だったのに・・たった2年半でこんなに落ちるものなのか・・言葉は深い。

写真は、宿からとった風景。もう一度言うが、ここは首都のど真ん中。

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